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2000.6.11-18
Part.1
一路「ングラ・ライ空港」へ
6月11日(日)
さていよいよ待ちに待った「Dreamland Bali Tour」の始まり。
今年は初めて成田組と関空組に分かれてバリへと出発。関西組は名古屋組のA美ちゃん、F.K子ちゃん、N田ちゃん、四国組の私、R美ちゃん、S.K子ちゃん、そして地元組のY.Mちゃん、Mにゃん、K.K子さん、マネージャーのHAKOちゃん、関西イベンターのヒロセさん、そして関西スタッフのラチさん、ダイモンさん、ウエダさんの計14名。(仕事の都合で地元組のF.Kちゃんは14日から参加)大阪発午前11時30分発のGA883便で一路バリへ。機内では相変わらず何に対してというわけでもなく「どーしよう、どーしよう」を連発する私。るるぶや機内誌をみているとどんどん「どーしようモード」は高まってゆく。隣のMにゃんは機内誌に載っていたウブドゥのおいしいパンケーキ屋さんをチェック。「地元でも知る人ぞ知る」なんてこういう言葉に弱いんだよねぇ。ガルーダ名物(笑)うなぎを食しつつ、「日本食ともしばらくお別れだな」とちょっぴりセンチな気持ちになりながらきれいにいただく。満足、満足。機内映画を見ているとアナウンスが。「お客様の中でお医者様か、看護婦さんがいらっしゃいましたら乗務員までお申し出ください。」見ると私の席の前の女性の方が倒れている。まるで松坂君のように申し出るナースS.K子ちゃん。かっこいいーっ。その女性が座っていた席は肘掛が固定されて横になれないということなので私たちが前の席に移動してその方について手当てをするS.K子ちゃん。ほれぼれ。結局貧血ということで大事には至りませんでしたが、手に職はつけておくものです。(しみじみ)「大変だったね、ご苦労様」とS.K子ちゃんに声をかけると「こんなとこに来てまで仕事するとは(トホホ)」と。ま、そりゃそうだ。
一段落したところでドリームランドから配られていたアンケートに取り掛かる。これはウェルカムパーティのときに使われるそうで氏名、生年月日から始まってライブでやってほしい曲、杉さんを知ったきっかけなどなどの質問が並んでいる。最初の「自己紹介」の欄でペンが止まる。今更自己紹介って言われてもねぇ・・・などとMにゃんと言い合いながら本気で書くことのない自分に情けなさを感じその欄を飛ばして先に進む。「特技」うーん、これも後回し。ほかの欄は埋めたけどどうしてもその2つが書き込めない。職業の欄に「お茶汲み」って書いたのをいいことに、こうなったら受け狙いでいくしかないなーと特技の欄に「テープおこし」と書き込む。人に誉めてもらったのはこんなことしかないもんで(汗)結局「自己紹介」は書き込めないまま提出する。
5時半すぎ(時差1時間)にデンバサールのングラ・ライ空港に到着。降りた瞬間、バリの匂い。「ただいま」自然とそんな言葉がみんなから出て来る。そこからバスでウブドゥへ移動。明かりのない山の中へどんどん進んでいく。初参加のK.K子さんとN田ちゃんはなんだか不安そう。(去年は私も不安でした。)1時間ほどするとウブドゥの中心から少し離れた「パノラマホテル」に到着。「本当はここで杉さんが出迎えする予定だったんですが、思ったよりバスが早く着いてしまったので間に合いませんでした。あと10分後にここに集合してください。」とマネージャーのHAKOちゃん。いやぁ〜ん、今日お会いできるとは思わなかったので感激ですぅ。6時間のフライトの後、山道1時間のドライブでちょっぴりグロッキーだったけど一気にテンションアップ。そそくさと部屋に荷物を運んでロビーへ。杉さんはもういらしてていつものあの笑顔で出迎えてくださった。胸に大きな太陽の模様のある黒の長袖Tシャツがとてもよくお似合い。「今までリハーサルやってたから間に合わなくてごめんね」「バリはどうですか?」と気遣ってくださる。ああ、見とれちゃって何にも言えないやぁ。。。「ここでは神の国発言しちゃっても大丈夫だよね、ホントに神の国だもん」などといつもの杉さん。にこにこ。ほんの10分ほどだったけど同じ場所にいると思うだけで幸せな気持ちだった。
その後大阪チームで近くのべべブンギルへ。ビンタンで乾杯した後、ミーゴレンとココナッツクリームパイをいただく。ああ、幸せ。去年もこのパイで幸せな気持ちになったなぁ。初めてのバリでのまったりした食事の後、ホテルへ。ちょうど成田組が到着したところで杉さんも再びお見えになっている。なんてタイミング。東京のみんなと会うの半年振り。杉さんがいるのにみんなではぐはぐしあって笑われてしまう(汗)
杉さんを見送った後ホテルの中庭でA美ちゃんが持ってきた打ち上げ花火と私が持ってきた手持ち花火をする。(しかし、荷物検査のときにチェックされないかとひやひやでした)そうしているうちにどんどんホテルのスタッフが集まってくる。聞いたところバリには花火はないらしい。スタッフの人達は珍しがって打ち上げ花火を手で持ったり、手持ち花火を振り回したり、まるで子供のよう。大声でHappy Birthdayを歌いながら馬鹿みたいに笑ってはしゃいで、私たちがする分がなくなっちゃったけどなんだか新しいわくわくを知った時の気持ちが伝わってきて「ま、いっか。バリだしね。」それですべてが解決。静かな山間の村に響く私たちの笑い声。こんなふうに私の夏休みは始まった。
ベスト オブ ミーゴレン
6月12日(月)
朝、目覚めると窓の外は一面の田んぼだった。あぜ道を牛の親子が歩いている。こんな風景が何10年も前の日本にもあったんだろう。表通りでは車が忙しく行き交っているのに建物一つ隔てたこちら側ではこんな穏やかな時間が流れている。この建物が時間の壁となってタイムトリップしたような気になってくる。
8時前にホテルを出てMにゃんとまま、RちゃんとOちゃんと散歩に出かける。…というのは実は口実で、あわよくばジョギングに出かける松尾さんをお見送りできるのではないかと言う魂胆だった。ジョギングを始めるであろう場所に行ってみるけれど人影はなし。今日はやらないのかもしれないね、なとど言いながらホテルに帰る事にする。帰りにみんなで写真を撮っていると、「…あれ?」…松尾さんだーっ!昨日は杉さんしかお会いしてなかったので松尾さんとはバリ初対面。ままもMにゃんもとってもうれしそう。「おっ、来たねぇ〜」と松尾さんもいつもの調子ながらごきげんそう。写真を撮ってもらってお見送りして幸せな気持ちで「びっくりしたねぇ」とか「ラッキだったねー」とか言っているとRちゃんが一言「私、松尾運あるんだ」と。さすがっ。
ホテルで朝食の後、Mにゃんと買い物に出かける。今日の目的は私は今晩のウェルカムパーティで着る服、Mにゃんはお土産のカゴ。ウブドの街はハヌマン通りとラヤウブド通り、そしてモンキーフォレスト通りが交わる大きな三角形の地区にお店やカフェが集中している。お昼からエステにも行きたかったのでまずはエステの予約を取るためにエステサロンに向かって歩き出す。
1年ぶりのウブドの街はやはりアジアンパラダイスのイメージのままだ。エステの予約も取れラヤウブド通りの市場に向かって歩き出す。ここは「Dry Season」のモデルになった場所だ。市場の手前でサロンを見つけ見ていると中からお店の人が出て来て「モーニングプライスだ」と言って普段は7万ルピアだけど今は5万にしてやるという。(1万ルピア≠130円)高い、と言ったら3万5千まで下げたけど結局買わずに市場を目指す。
市場には本当にさまざまなものがあった。食料品から雑貨、衣服にいたるまでありとあらゆるものが揃っている。サロンを見ているとサロン屋のお姉さんが5枚で1000円だという。Mにゃんと2人でなら5枚くらい買ってもOKだなと思って入って行った。お姉さんが見せてくれたのは綿のサロンではなくテロテロ合繊のサロンだった。私たちが欲しいのは綿のサロンだったので、こっちの綿のサロンはいくらだと聞くと12万だと言う。冗談じゃない。店を出ようとするとそのお姉さんは身体で通路を塞いで通せんぼをしている。ひょぇーっ。こっちも負けてはいけないと(笑)Mにゃんと一緒にさっきのお店では3万5千だったと主張すると、あっさり値段を下げてきた。おいおい、ホントはいくらなんだ?飽きれてお店を出ようとするとお姉さんは「1万5千―っ」と叫んでいた。
お店を出て他の店を見ているとMにゃんがやっぱりさっきのお店のサロンが気に入っているから戻ろうと言うことになった。お姉さん、嬉しそうな顔してくれるかな?なんて甘い期待を抱きつつ戻ってみると、お姉さんは嬉しそうな顔どころか、自信満々な顔で私たちを見て、「そっちのベストプライスはいくらだ?」と聞いてきた。3万だと言ったらごね始めたので作戦を変えて7枚買うからということで18万で落ちついた。なんだか優越感(笑)去年の私は市場に近づく事も出来なかったのになぁ。
モンキーフォレスト通りで今晩着る赤いドレスも買い、Mにゃんのお土産のカゴもいくつか買って、お昼を取る。お昼は高島さんが「チャプチャイ(野菜炒め)がおいしい」と「バリ通信」の中で勧めてくれていた「Cafe Tegal」へ。通りから見るとなんだかお世辞にもきれいとは言い辛いお店だったけれど席に付くと中庭が広がっていい感じ。暑くて、足も疲れてて暗黙のうちに「やっぱ、ビールでしょ」ってことでビンタンビールで乾杯。くぅ〜っ昼間っからビール飲んで、極楽じゃぁ。ミーゴレン(焼きそば)、チャプチャイ、ナシゴレン(焼き飯)をオーダー。どれも1万ルピア以下。安すぎ。まずはミーゴレン。…ん?なんだぁーっ?今まで食べた事のないミーゴレン。麺も違うし、味も違う。くぅ〜っおいしぃーっ!!お腹が減り過ぎているのも手伝って、思わず、黙々と2人で食べてしまう(笑)確かに高島さんが勧めるだけあってチャプチャイも絶品。ああ、幸せーっ。そんな気分に浸っているとままやRちゃんたちがやって来た。みんな考える事は一緒なのね(笑)
食事を終えてままたちのテーブルに話しに言って、「ミーゴレンおいしかったよー」とか「汁そばもおいしいよ」などと言っていたら、向こうから見なれた顔が…「あ、(渡辺)かおるちゃん…」と思った瞬間、その後ろには・・・きゃーっ杉さんっ!!思わず、硬直。メンバー全員揃ってるよぉーっ。うっ、振り向けないっ…「ね、写真撮っちゃダメかなぁ」と、まま。さすがっ、と思う暇もなくままは杉さんたちのそばに…。なにやら話した後に「じゃ、行きまーす、どんぐらいーっ?」すると杉さんを始め、みんな揃って大きな声で「ん〜っぐらいーっ!!」私たちのまわりを飛び交う「?」マーク。「えっ、なに、なに??」するとRちゃんが一言「ングラ・ライ空港だよ」と。そっかぁー。これから先、なんどこの言葉をいう事になったか(笑)
エステの時間がもう迫って来てるので後ろ髪が抜けるくらい引かれたけどCafe Tegalを後にする。杉さんは向こうのほうから私たちに向かって立ちあがって何度も手を振ってくれた。
ウェルカムパーティ
エステではまたもやオイルを塗られターメリックでこすられ、ヨーグルトを塗られるタンドリーチキン状態。マッサージはとろとろに溶けそうなくらい気持ちがいいし、その後のお花の入ったミルク風呂も優雅な気分で本当に夢のよう。外は雨らしく、雨音が時折、激しくなったり、静かになったり。それがまた心地よくて本当に解けてしまうくらい気持ちが良くてすっかり時間を忘れてしまった。
ホテルに帰ってHちゃんと話していると「さっき、べべブンギルでココナッツクリームパイ食べてたら杉さんたちも来て、パイ食べてたよー」と。をを、お食事をした後だというのに、杉さんもお好きなのね(笑)
昼間買った赤いドレスに着替えて、ウェルカムパーティの会場である「Kafe Padi」に出かける。ここは去年懇親会があったり、ライブの打ち上げがあった場所でバリニーズのだんな様を持つ日本人のキョウコさんのお店だ。ほとんどの席は埋まっていて、私たちは入り口近くの大きなテーブルにつく。目の前にはさまざまな料理が並んでいるけれど、緊張のあまり手をつけることができない。「杉さんが一人一人呼びますから前に出てきてください。」とHAKOちゃん。げげーっさらに緊張。ああ、どうしよう、どうしよう。何人か呼ばれた後、早いうちに私の番が回ってくる。にこにこの杉さん。飛行機の中で書いたアンケートを元にいろいろと杉さんが質問をしてくれる。「MFBでやってほしい曲は『Soul Vacation』と『One Summer Girl』・・・『One Summer』好きなの?」「・・・はい・・・」松尾さんの曲だけど杉さんの最後の辛そうなコーラスが好きなんです、なんて口が裂けても言えやしない(汗)結局「はい」しか言えないまま終了。「四国からきてくれたNちゃんでしたー」って杉さん、うれしゅうございますぅ。
みんなの紹介が終わり、メンバーの紹介の後、杉さんがそれぞれのテーブルを回ってきてくださる。最後に私たちのテーブルに杉さんは来てくださった。「あそこ(Cafe Tegal)のミーゴレンおいしかったよねぇ。ベスト オブ ミーゴレンだなぁ。」いやぁ〜ん、私もそう思いましたぁ。そんな話から始まって、薫ちゃんとの新しいマキシシングルの話をしてくださる。「この前ジャケット撮ったんだけど、僕はマラカスもってオールバックにサングラスして金の蝶ネクタイとサッシュ巻いてこれもんでやってたら撮影してた田島さんなんて撮りながら笑って肩が震えちゃってたーいへんっ」「1曲はアメリカの昔の歌謡曲みたいな感じで、薫ちゃんのは昔渡辺満里奈ちゃんに書いたんだけど引き上げちゃったんだ。おいといてよかったよぉ。」「ロビーナって1回しか行ったことないんだけどバリの海岸の名前でね、なんとなくラテンぽっくってどこかわかんないとこがいいでしょ?イメージとしてはEXILES(MFBのライブ会場でもあるロバートハリスさんのお店)なんだー」「僕の曲はほとんど僕一人でやって、薫ちゃんがちょっとコーラスしてくれてるんだけど・・・」「明日のライブ(MFB)では新曲やられるんですか?」と聞くと「やるよ、でもまた別の曲だよ」と。そんなこと思ってもいなかったのでびっくり。「来る前も嶋田くんちでデモテープ作ってたんだー」ううう、「そろそろソロ、でもでも作ろうかな、デモ計画」は着々と進んでいるんですねぇ(感涙)「松尾さんのアルバムが良かったじゃない?5曲って集中して聴けるし、そんな感じでやろうかと思ってるんだ。」もう、涙が出ちゃう。「松尾さんや東は絵が得意だから自分で描いたりできるけど、僕は描けないから自分で撮った写真を使おうかと思ってるんだ」とか「実はもうタイトルも決めてあるんだー」って。あんなに待ち焦がれていたソロ活動がこんなふうに着々と進んでいると思うと本当に夢のよう。「ホントは9月に、って話だったんだけど、それは間に合わないってことで伸びちゃったんだけど・・・」ということなので秋か、冬には・・・?くぅ〜っ嬉しすぎますっ!その後も、上田さんのアルバムの話や、東さんのアルバムの話をしてくださいました。「宿題いっぱい出されちゃって大変なんだよー」と言いながら嬉しそうだったなぁ。
その後はあちこちで撮影会の後、お開きに。真っ暗な夜道をみんなで手をつないで帰る。空を見上げると少し欠けたお月さま。「きれいだねー。」「南十字星ってどれなんだろうねー?」ここは南半球、自分の故郷からは遠く離れた街なのに懐かしい風を感じる。がたがたの道、かえるの鳴き声、水田に映る星。「バリにいるんだよねー」夜の空気をいっぱいに吸い込むと幸せに満ち足りた気持ちになった。
再びあの場所へ
6月13日(火)
朝だ。時計を見ると、7時半。危ない、危ない。今日から朝はランニングなのだ。Mにゃんを起して着替えを済ませる。お化粧は、ま、いっか。どんどん自分の中でバリモードが高まる。どんどんいいかげんになって、どんどんだらしなくなってくる。それもまたバリのいいところ、なんて勝手に思ってたりして。ままが迎えに来てくれる。Mにゃんを待ってロビーに出ると、Aちゃんが「もう、行っちゃったよー」と教えてくれた。早く追いつかなくちゃ、と走り始めようとすると「でも、これセイフティボックスに入れなきゃ。。。」う…しゃーない「入れといてあげるよ」その言葉を聞いたか、否やMにゃんとままは猛スピードで駆け出して行った。
セーフティボックスの手続きは思ったよりも時間がかかり、走り始めたものの、人影すら見えない。全速力で追いつこうと思ったけれどすぐに息が上がり断念。こうなったら一人でジョギングだと開き直ったところで分かれ道に来てしまった。はて、どっちに行ったんだろう。悩んだけれどモンキーフォレストのあの急な坂道を登る気力はなく、反対のハヌマン通りを選ぶ。こちらに進んでみても人影はない。一人で黙々と走る。ウブドの街は朝が早い。頭に籠を乗せ忙しく働く女性。道路工事をしている若者。走っていると車から見る風景とも、歩いている風景ともまたちがった風景が見えてくる。街の本当の空気が見える気がする。サッカー場に出る曲がり角を曲がると表通りとは少し違った店が並んでいる。サッカー場に出たところで見なれた人影を発見。松尾さんを始め、みんなが歩いてきている。「あー、よかった。もう会えないかと思ったぁ」一人で走るつもりだったのでなんとなくほっとした感じ。今朝はツアーコンダクターの小林さんも一緒だ。サッカー場に入り、歩く。サッカー場といってもそこは草が生えたただの広場。向こうの方では子供たちが裸足でサッカーをしている。
もと来た道を今度はみんなで走る。少しづつ、車も多くなって走り辛くなって来た。
ホテルに戻ると松尾さんがポケットからカメラを出して写真を撮ってくれる。なんだか嬉しいな。
シャワーを浴びて朝食。その後、PちゃんやKYちゃん、ARちゃん、K子たまたちと去年も行ったチェハヤデワタに行く。ホテルの車で送ってもらう。ウブドの街から車で15分ほど走ったところにチェハヤデワタホテルに着く。ここは私にとって特別な場所。どうしても行きたかった。ホテルに着くとスタッフの人が出てきたので「景色を見たいんだけど」というと快く案内してくれる。奥へ進んで行くとあの風景が現れる。どこまでも続くヤシの原生林。その隙間を縫うように流れる渓流。去年の私はいろんなものを抱えてバリに来てそしてここに棄てて帰った。自分の中の澱が知らず知らずのうちにあふれ出て自分の感情をコントロールできなくなってしまった。
だけど今年は違う。優しい気持ちで向かい合えた。心が動く。だけどとても穏やかで自然な気持ちで会えた。「ただいま」懐かしい、そして切ない気持ち。だけどもう大丈夫。そんな風に今年は感じられた。
案内してくれたスタッフの人と写真を撮ってもらう。そのお兄さんは舞踊をやっているらしく長い爪を見せて独特の振りを見せてくれる。目の力がすごい。きっとバリではもてるんだろうな、そんな感じだ。写真を撮る時に私の腰に回した手、おいおい、って感じだったけど(笑)
チェハヤデワタの帰りにインダスと言うレストランに寄る。ここも景色がいいということと、ケーキが美味しいと言う評判だったので。2階に案内してもらう。そこから見る風景はまた壮大なものだった。ヤシの山々。向こう側の山の中腹では石を切っている人も見える。心地のいい風が吹いてくる。ジンジャーティをオーダー。暑くても不思議と熱いジンジャーティが飲みたくなる。みんなでさまざまなケーキをつっつく。バリのケーキは決して繊細とは言えないけれどおいしい。「これからお昼食べるのにね」といいながら全部平らげる。
ウブドの街に戻りみんなのリクエストで昨日行った「Cafe Tegal」へ。2日連続で食べたいくらいここの「ミーゴレン」が忘れられない。杉さんの「ベスト オブ ミーゴレン」の称号ももらった事だし(笑)昨日と同じようなメニューを頼んでみんなでつっつく。ああ、幸せだなぁ。
食事をした後、となりのネットができる事務所のようなところに行ってみんなでネットをする。去年は日本語変換できるところなんてなかったのに、すごい進歩。だけどそれだけ日本人が来てるってことなんだろうなと思うと複雑な気持ちになる。最初にアクセスした自分のページに感動。愛媛ではもう杉さんの新曲がオンエアーされたらしい。こんなに離れていても悔しくて地団駄を踏む。なんだか変な感じ(笑)日本にいるみんなも元気そうでよかった。つくづくネットの偉大さを感じてしまった。
そのあとみんなと別れて私とMにゃんは街のはずれのスーパーへ。途中に機内誌で見たパンケーキ屋さんがあるはずだと言うことで歩いていく。スーパーに行く途中、子供にお乳をあげながら歩いているお母さんとすれ違う。なんだか人間の本質を見せつけられた気がしてちょっと感動。この国ではアトピーなんて病気はないのかもしれないな。
スーパーでお土産やら水やらを買いこんでホテルへ戻る。行きは元気だったし、荷物もなかったのでそれほど遠くも感じなかったけど帰りは思ったよりも遠く感じる。その上、探せども、探せどもパンケーキのお店は見つからない。気持ち的にもへろへろになってくる。一生懸命探してあげられない自分に、自己嫌悪。お店の名前もわかんないと言うことでホテルに一度戻り、Mにゃんは持ちかえった機内誌を手に、タクシーでそのお店を探しに出かけていった。
シャワーを浴びて、仕度をしていたらMにゃんが帰ってきた。パンケーキはドラ焼きのようで美味しそうだけどこれから食事付きライブだからと遠慮。またまた緊張が高まってくる。だってだって大好きなEXILESで大好きなMonkey Forest Bandのライブなんだもの。
Welcome to the Club Lovina
雨が降っていたため会場である「EXILES」にはホテルから何組かに分かれて車で移動。真ん中に中庭が広がったEXILESはMonkey Forest Bandの故郷と言ってもいいかもしれない。
ライブの前に食事をとる。今日はまだ杉さんたちも来てないようだから食べれるかな?なんて思って食べていたらすぐ杉さんたちが到着。私たちの後ろを通って奥の座敷に。う、後ろ振り向けないよぉ(涙)杉さんたちも一息ついたところでMonkey Forest Bandのライブが始まる。
みんな揃えたかのように青い服だ。さっきの雨もやんで涼しい風が吹いてくる。
「Asian Paradise」
この歌がとても自然になじむ。「ようこそ、私たちのホームグラウンドへ」
「松尾さんは早起きで自転車に乗る姿も目撃されているようですが…」と「自転車に乗って行こう」を。私も目撃させてもらいました(^^)
杉さんたちがバリに来る前にトレーラーの横転事故で大渋滞になり、チケットを持った高島さんが遅れそうになったり、同行する大阪のイベンターのトモさんのバスがつかず、結局翌日の便で行った事など、なんだかハプニング続きだったようです。
「Sailing Away」
Cafe Tegalでのままの「ん〜ぐらい」話。くくく、その場にいれた幸せをかみ締めさせていただきました(^^)
「Soul Vacation」
ああ、この場所で聴くこの歌はまた特別な気がする。「帰らなくていいんだよ〜♪ってのがいいよね」と松尾さん。「今日はここに泊まっちゃおう」と杉さん。ホントに、ずっとこのままここでライブが続けばいいのに。
べべブンギルでココナッツクリームパイを食べ損ねていたのでお腹いっぱいだったのに食べに行ったと言う話。くくく。
「Hide Away」
今年もあの「隠れ家」に行かなきゃね。
バリには猿も犬も多くて、あとキジがいれば桃太郎だね、なんて言ってたら東さんの部屋にキジが住みついている…と言う話だけど実際はニワトリだったらしく、「あれは野生のニワトリなんでしょうかねぇ」悔しいから「キジちゃん」と呼んでるそうです(笑)
「World of Love」
いろんな「美しいところ」が浮かんでくる。それはどんなに人間が頑張ってもかなわない自然の美しさ。自分のちっぽけさを感じながらこの場所でこの歌を聞く意味を考える。
「One Summer Girl」
ビーチボーイズみたいなコーラスがとっても素敵なこの曲。「♪う〜う〜う〜う〜う〜う〜う〜♪のところの声が出ないんですけど・・・」と杉さん。そこ、そこがいいんです(笑)
この前、NHKを見ていたら「日本のうた」をやってて、「雪の降る街を」を聞いて思わず涙してしまったという杉さん。「このマイナーからメジャーに変わるところがいいんだよね」とこの曲を作った中田喜直さんの「夏の思い出」を。知っている曲なのに杉さんが歌うとまた杉さんのオリジナルのように聞こえるから不思議。間奏の里ちゃんが弾く鉄琴の音がとても心地よくてバリの空気と共に空に舞い上がっていく感じ。最後の♪遥かなバリ〜遠い空〜♪っていうのがしゃれてるよね。これからこの歌を聴くたびにあのバリの遠い空を思い出すんだろうなぁ。
杉さんのお母様が好きだと言う「南十字星」のサントラ。「似てるんですよねー、杉くんちのお母さん、まー君に(笑)まー君って呼ばれてるんですよー」「いいじゃないですかー(照)似てると言えば東くんち!!」話題をそらす杉さん(笑)「来ると思いました」と東さん。自己認識はあるし、みんなも納得してるから本当にそっくりなんでしょうねぇ(笑)
「Happy Talk」
去年は「『I need her love』を発表しようと思ってたんだけど体調が悪くてできなかったんですが、今年はがんばって間に合わせました。」と新曲を。
「Smiling Face」
夏の香りのする、きゅんと切ない、そしてスケールの大きな曲。♪思い出してSmiling Face〜♪っていうフレーズが耳に残る。やっぱり笑ってなきゃね。
「さっきは『One Summer Girl』って曲でしたけど『ワンサカーガール(笑)』の渡辺かおるちゃんですー」白いドレスにポニーテールのかおるちゃん。「Perfect」と杉さんと松尾さんの共作の「Daybreak Sunset」この曲もとてもバリに合っている曲だなぁ。
ウブドの街で道端に座ってギター弾いてる少年にギターを貸してもらってわざと難しいフレーズを弾いて威嚇しちゃうという杉さん。「ぼくもよくやっておごってもらったりしますよ」という東さん(笑)
「愛はタイムマシーン」
どんどんこの曲もバリのイメージが強くなってくる。
松尾さんのアルバム再発のニュース。みんなから歓声が起こる。「ランニングする前に6:30ころ起きてライナーノーツ書いてるんだけど、ほら午後はみんなと遊ばなきゃいけないじゃないですか」「だから松尾さんは夜早いんですよねー。12時過ぎると事切れちゃってウエディングベール(実際は蚊帳らしいです)の中に消えてゆく松尾ちゃまっ!!」
去年8月のサンシャインの酔っ払いのおじさんのせいでソロがめちゃめちゃになったという(まだ引きずってますね、この話題)
「イノセントアイズ」
バリにはヤモリが多いということから「やもりのおばちゃま、こうもりのおばちゃま、てんこもりのおばちゃま」どんどんエスカレートして行っちゃいますぅ(笑)
「太陽が知っている」
大好きな曲。どんなに落ち込んでてもボサノバのリズムが背中を後押ししてくれる。いい感じで盛り上がってきたところで杉さんがちょんぼ(笑)「ごめーん、もう1回やってもいいぃ〜?」それでまた盛り上がって行く。
壁に大きなヤモリを発見。それに合わせたかのように(笑)
「アマゾンボーイ」
ボサノバからサンバのリズム。このあたりからみんな席を立ち始める。どの顔見てもにこにこ。
里ちゃんの♪ぃやっほぉ〜うっ♪も決まって
「夢のMEXICO」
カウントもばっちり。こうでなくっちゃ。
本編が終了してもみんなまだ立ったままアンコールの拍手が途切れない。
メンバーと大きなケーキが2つ登場する。
「今日は東の誕生日とスタッフのヒロセさんの誕生日ということで・・・」そして6月生まれのA美ちゃんとGちゃんもステージに呼ばれる。みんなで「Happy Birthday」を歌った後「Rainbow in your eyes」を。照れくさそうな顔、涙ぐんでいる顔、いろんな顔があったけどこうしてこの場所でお祝いしてもらえることが一生の思い出になるんだろうね。
EXILESのオーナーの一人であるツカサさんの結婚式のために書いたという「ロータスのほとりで」本当に本当にこの曲をここで聴ける幸せ。
さっきのケーキをみんなに切り分けてもらう。「食べながらでいいから聴いてねー」と「世界の中心」
いろんなことが思い出されて胸が熱くなる。去年と変わったこと、変わらないこと、自分の中のいろんなものが思い出されてくる。自分では強くなったつもりだけど実は何も変わってないのかもしれない。
杉さんたちが退場してもといた私たちの後ろの座敷席に戻ってゆく。ただ、頭を下げることしかできない。「ありがとうございました」の一言が出ない。そんな自分が情けなくて、そして自分の気持ちを伝えられる人たちをうらやむ自分が嫌でまた悲しくなる。
ホテルへと帰る道すがらまた星を見上げる。ここに来る前は雨だったのにすっかり上がっていた。どんどん悲しくなって涙があふれてくる。Pちゃんが腕を組んで歩いてくれる。自分でも説明できない気持ちを彼女はわかってくれたのかもしれない。
ホテルに戻って部屋に向かう中庭から真っ暗な水田の中に蛍の光が見えた。初めて見た野生の蛍。草むらの影でその光が強くなったり、弱くなったり。Pちゃんはまだ腕を組んでくれている。その光を見ていると少しづつ、心が穏やかになって行くのがわかった。
虹を見たかい
6月14日(水)
朝、早くに目が覚める。夕べは昨日かかった新曲をずっと聞きながら眠ったせいか頭の中を「Smiling Face」が流れている。「夕日に染まってた雲の空中都市が君にも見えただろう」という歌詞が頭から離れない。今朝はチャンディダサに移動ということでランニングはなし。せっかく早く起きたので「Hide Away」に行こうと思いMにゃんと出かけた。
さっきまでまた雨だったらしくまとわりつくような湿気とぬれた地面。「あ、虹・・・」雲の空中都市から少しだけ顔を見せた太陽がほんの一瞬だけど虹のループを作っている。あわててカメラを構えたけれどそれはほんの数秒で消えてしまった。「でもラッキーだったね」夕べの蛍といい、今日の虹といい、普段見れないものがたくさん見れる。偶然の重なりだろうけれど、日本だったら見逃していたものかもしれない。
Monkey Forestに入るとさらに空気は重くなる。「こっちでよかったんだっけ?」去年来たとはいえ、2人とも自信はない。森を抜け、少し行くと見慣れた風景になってきた。「ここだよね」とたどり着いた「隠れ家」は去年あった石の門がなくなり、竹で出来た支柱に看板がぶら下がっているだけだった。どうやら隣に新しく建物ができるらしくじゃまになったその門は撤去されているようだ。風情の変わったその門を抜け、「隠れ家」へ続く細いあぜ道を歩いていく。まるで去年から時間が止まってしまっていたかのように何も変わらずにいた。雨上がりの湿った空気、誰もいない庭。朝の静けさ。奥へ進んでいくとコテージは誰も泊まってないらしく、部屋の扉は開いたままだった。少し罪悪感を感じながらも覗き見るとそこには小さなシンクとベッドルームが見えた。特別でもなんでもない、だけど穏やかな場所だった。
Hide Awayを後にしてホテルに戻る道すがらウェルカムパーティで杉さんが行ってよかったいうCafeを見つけた。「普段は一人で喫茶店とか入ったりしないんだけど今回はなんとなく通りかかって入ってみるとすごくよくてね、一人でジンジャーティを飲んでそこから景色を見てたら『あ〜幸せ〜』って感じになっちゃって・・・」とお話してくださったのだ。時間がなかったけれど、ちょっとだけ立ち寄ってみる。朝早いため、他にお客さんはいない。申し訳なかったけど「写真だけ撮らせて」と言って中に入れてもらう。入り口がすぐに中庭とつながり向こうの田園風景が見える。ちょうど柱が額縁のようになって1枚の風景画のように見える。柔らかいやさしい絵だった。
ホテルに戻り、朝食の後、Pちゃんと買い物に出かける。目的のものを買って帰っていると自転車に乗った里ちゃんと松尾さんが通り過ぎる。あまりにもウブドの街にはまりすぎている2人(笑)その後、タクシーから手を振るままとRちゃんに遭遇。朝からチェハヤデワタに行っていたらしい。・・・ってことはさっき合った里ちゃんと松尾さんには会ったってことね、さすがRちゃんの松尾運(笑)
帰りに昨日行ったネットカフェに寄ってみると日本語変換が壊れちゃって変換が出来ないと言う。昨日書き込んだ後のことが気になったし、これから先、ネットが出来るところがあるか良くわからなかったのでネットしたかったのだけど、しょうがない。そのままホテルに戻り荷物をパッキングして次の滞在地チャンディダサへ。
バスに乗っている間、昨日のライブのMDをA美ちゃんがバスの中で流してくれる。みんなで歌っているとそれぞれにコーラスをつけたり、歌ったり。こんなことが嬉しくてたまらない。「『One Summer Girl』のコーラスのとこ、音階が変わるごとに杉さん首の角度が違うんだよね」とか「『Soul Vacation』の里ちゃんの『んかーーーっ』が好きだ」とか話、濃いぃー。ああ、うれしいなぁ。フェアウェルパーティでみんなが歌うカラオケを聞かせてもらう。イントロ聴いただけで鳥肌が立ってくる。ああ、だめだぁ。今年はちゃんと歌わなきゃ。。。
バスは東さんや里ちゃんが運転する車を抜いたり抜かれたり、なんだかそれも楽しい。山道を抜け、街に入ると「BAKSO」とかかれた看板をバスの窓から見つける。去年も杉さんが食べておいしかったと言っていたバクソー、今年は食べれるかなぁ。
しばらく行くと海が見えてきた。私がいつも見ている島影のある穏やかな海とは違う広くて大きな海。空もウブドの空とは違う、夏の空が広がっている。パラダイスみたいなチャンディダサはもう、そこだ。