Monkey Forest Band Live
at Ernest House Shimoda
21st July 2001
会場であるアーネストハウスは杉さんの古くからのお友達である内田さんの下田にあるペンション。今日のMonkey Forest Bandはそのペンションのレストランでのライブ。会場に入るとカウンターの向こうのスペースにたくさんの椅子と、その前にグランドピアノとステージがセッティングされていた。ステージといっても段差も無いし、並べられた椅子との距離が近い。それだけに普段とは違った緊張感に包まれる。窓は全て開け放たれ、海からの風がすり抜けて行く。天井には大きなファンが回っていて、宿泊している外国人の方がさっきから出入りをしている。なんだかここが日本じゃないような気さえして来る。午後8時、みんなが席についた頃杉さんたちがステージに現れた。
杉さんは赤いアロハに白のコットンパンツ、松尾さんはオレンジ色のポロシャツに黒のパンツ、哲ちゃん(Guit.)は白いシャツにデニム、東さん(Bass)は青い花柄のシャツにバリ風のパンツ、里ちゃん(Per.)は青いアロハに短パン、みんななんとなくバリっぽい感じ。「どーも、お待たせしました、モンキーフォレストバンドです。じゃ、行きまーす」とゴキゲンなイントロからクリフリチャードの「Summer Holiday」。まさかこんな曲から始まるなんて。ホントに素敵なSummer Holiday。続いて「パピヨン」。まとわりつくような熱い夜風がこの曲と共にバリを思い出させる。里ちゃんの心地良いパーカッション。「みなさん昼間どうしてました?海?…寝てました…?あ、海に行きました、ね(笑)寝てたのは須藤薫っていう人ですけど(笑)。主婦の仕事しなくていいからってため寝してたらしいですけど(笑)僕は一人で海行ってきて、ラッコ状態だったんですけど、海に行った人はどのくらいいますか?」普段のライブと違って会場も明るいので杉さんも積極的に会場に向かって話しかけてくれる。「このペンションは僕の友人のペンションなんですけど、このレストランも普段はセッティングが違って、でもピアノがあって夕べもセッションとかしたんですけど。」なんだか想像しただけで素敵ですぅ。「僕らは19日について昼間カレーを作ってくれたんですけどここで窓が開いて自然の風を感じながら半分野外で、岩城晃一になった気分で…あ、オレだけ?(笑)。で、チキンの嫌いな松尾さんも!」「チキンがね、こうそぼろ状態になってたもんで大丈夫だったんですけど、でも(同じくチキンを食べない)上田さんに怒られるかも…あんたはダメだとか言って(笑)。そう、今日はウエットスーツでお迎えしたかったんですけど、今はここ、貸してないんだって。よかった〜(笑)。」「というわけでチキンカレーを食べた松尾さんが歌います(笑)。『Hideaway』」ゆっくりと時間が流れて行くようなあの隠れ家が浮かぶ。杉さんにとってここが日本のHideawayなんだろうな。「テレマカシ…」そして「Soul Vacation」へ。あー、なんだか本当にここがどこか分からなくなっちゃう。♪今夜君はもうどこにも帰らなくていいんだよ♪普段のライブよりもこうしてどこにも帰らなくていい日に聴けるのってまた格別。
「歌ってたら下をカニちゃんが歩いてまして、見てたら間違えちゃいました(笑)。」そうそう、さっきから杉さんの足元を小さなカニが行ったり来たり。「MFB、急遽決まったもんで僕の家で練習したんですけど、散らかった部屋で(笑)。で終わってみんな下に降りてて…。家に猫がいるんですけど僕の部屋には入れないようにしてるんですけど、入ってきたんで『こらっ!下行ってなさい、早く!』って言ったら『はいっ!』って返事があったんで見たら東君が残ってて(笑)。いくら年下でもそんな失礼なこといいませんよー(笑)。で、ここ(アーネストハウス)に来て東くんパソコンでゲームやってて、こっちでみんなで話してて『そうだよね〜』って言ったら『そうですよね』って返事したんですよ。とりあえず何だっていいから返事しておけばいい人なんだなって思ったんですけど(笑)。」「そんなことないですよー。でも、よく分かってなかったんですけど(笑)。ゲームん時って一生懸命じゃないですかぁ。でも横で盛りあがってると一応返事しておこうかなって思って(笑)。」「そんな東さんが歌います。こんな夜にぴったりですね、歌詞間違えないでね、コード変わって来るんだから。こうやってプレッシャーかけちゃう(笑)そこまで言っちゃえ(笑)。」「1.2.3.4!」(笑)♪月の夜に船浮かべて…♪「Sailing Away」を。東さんの透き通るような声が当りの空気と同化して溶けて行くような気がする。あー、気持ちがいい。
「下田って初めての方はどのくらいいらっしゃいますか?いいところでしょ?」「暖かいんだよね、こっちって。黒潮の関係で。メッカ(サーフィンの)だよね、桑田佳祐のビデオ撮ったんだってね『波乗りジョニー』の。たっちゃん(内田さん)が言ってた。」松尾さんとのトークに会場もなごむ。「じゃ、新しい曲やりましょうかね。」「杉君に作詞を手伝ってもらった」と「マイルネッサンス」を。初めて聴く生の杉さんのコーラス入りの「マイルネッサンス」。会場からは手拍子。
松尾さんがピアノの所に移動。「みなさん、もう食事とか済んだんですか?ちゃんと聴いてます?(笑)僕ら飲んでないですもんね。これにかけてたんで(笑)。」「次は、バリで作ったんですけど、こういう所で歌うのもいいかな、って思って、『世界の中心』って曲をやりまーす。」あー、心がどこかに行っちゃいそうなくらい気持ちがいい。松尾さんのピアノの音が響き渡って優しい気持ちになる。「次の曲は夏っぽいんですけど難易度は高いんです(笑)『One Summer Girl』」あー、もう大好きな曲だから嬉しいっ。
「ピアノのチューニングが高いもんで♪うーうーうー…♪ってなっちゃって、(苦しそうに声を出すのを)指摘されたんだけど(笑)。内側からこみ上げて来るものがこう…(笑)。」杉さんのこのコーラスのファンって結構多いと思いますです、ハイ(笑)「ではこの辺でゲストの登場です。須藤薫さんでーす。」薫ちゃんはピンクのドレス。「アーネストハウスへようこそ。下田は10年以上ぶりなんですけど、こんなところがあったんだーって。…まだ私、何かしゃべってた方がいいんですか?…今、カニを見ました。お子ちゃまたちが遊んでいる姿を見て、こういう過ごし方もあるんだなーって。私たちも大人になったんだなーって。でもデビューした時にはもう大人だったんですよねー(笑)。」「…ありがとうございます、もう、繋ぎも上手くなっちゃって。」「すみません、砂肝、美味しい…」か、薫ちゃーんっ(^^;;「薫ちゃんの歌はこういうシチュエーションにぴったりじゃないですか。中でも私たち男性がこの曲を歌って欲しいなーって思ってリクエストしました『悲しき恋のマンディ』」悲しい歌だけどMFBで聴くととても軽やかに聞こえる。
「そうそう、さっきお手紙をいただいたんですよ。『みんなからのリクエストです。Soul Vacation…これはさっきやりましたね。内気なジュリエット、夏休みの宿題、グッバイロッカフラボーイ…』うおぉーっ…『松尾さんバリでやったクリフリチャードのエンジェル』」松尾さんが即興で歌い始める。会場からは思わず手拍子。リクエストに応えてくださるなんて贅沢ですぅ。「先生も何かやってくださいよ。」と松尾さん。「じゃ、ポールの『Warm and Beautiful』を。」はぁ〜、杉さんの優しい声が響き渡る。暖かい気持ちがあふれて思わずうっとり。「短かったっ!」「じゃ、後で星空の下でやろうか?」くぅ〜っ。想像しただけでうっとりですぅ。「じゃ、渚シリーズ。悲しみにどっぷり浸ってもらいましょう。それじゃ演歌ですよね(笑)。哲くんのうちにあったんだっけ?新星堂行ったら演歌のパンフレットがあって僕が載ってるかなーと思ったら載ってなかったらしいですけど。載ってたとしたら、杉真理『蝉しぐれ』!勝手に演歌のデビュー曲まで決めてくれたらしいです。でも『蝉しぐれ』っていい感じですよね。男の夏、歌います!っとかキャッチフレーズまでつけて、で、タイアップまで付けて。○ンチョール…殺虫剤のタイアップで『蝉しぐれ』じゃダメですよねー(笑)じゃ、行きます。『最後のデート』」おちゃらけた雰囲気が一転、ロマンティックなムードへ。浜辺を歩く分かれ行く2人。そんな姿が下田の砂浜に見えるよう。
「今、アリさんが足に…(笑)アリサンマダ…韓国語(笑)…韓国語でサンドイッチ、知ってます?パンニハムハサンダて言うの。」「は、歯に挟まったって覚えれば…」「覚えればって…」「パンニ…はに…歯に挟まったって覚えればいいなーって思ったんですけど…」「もしかして全然分かってないんじゃない?…オレの意図を…」「?韓国語でハムサンドのことを…歯に…でもそれも覚えずらいですよね。」「どうしてそう遠いほうへ遠いほうへ…一回経由して…ドツボにはまりそう…」「覚えましたか、みなさん?」…さすが薫ちゃん(笑)「さて、私も新しい曲を…『WAVE』」MFBのバージョンで聴く「WAVE」は、ギターやパーカッションの音がクリアに聞こえて、さらに夏の香りが強くする気がする。哲ちゃんのギターソロにはもう目が釘付け。はぁ〜、こんな至近距離で指の動きが見れて幸せですぅ。
「立っちゃおうかなー、この辺で。」と杉さんたちが椅子から立ちあがる。それに合わせて私たちも立ちあがる。この距離で立っちゃうとどこ見ていいかわかんないですぅ。あー、直視できませんっ。「じゃ、『Surf Side Drive』やりまーす。みんな踊り狂っていいよー♪」ををー、こんな曲までやってくださるのですね(感涙)。みんなも合わせて揺れている。薫ちゃんもとても楽しそう。とってもラフな感じがいつもCDで聴くのとはまた違った感じで心地いい。続けて「夢のMexico」へ。もちろん里ちゃんの「ぃやっほ〜うっ!」も決まって(^^)。そして「太陽が知っている」へ。ホントにご機嫌で思わず顔もニコニコ。♪愛し合って夢を分け合って許し合ってそれでダメなら微笑んでみよう明日の行く先だったら太陽が知っている♪小さなことがどうでもいいように思えるくらい大きな気持ちになれる。「どうもありがとー!第1部終わりー!」
みんなで揃ってアーネストハウスのすぐ隣の駐車場へ。途中でスタッフの人から花火を手渡してもらう。後ろの方だったので駐車場についたころにはもうみんな花火で盛りあがっていた。少し遅れて着替えをした杉さんたちも登場。杉さんはTシャツに黄色いラフなパンツ。小さなギターを抱えている。打ち上げ花火をやったり、線香花火をやったり、みんなそれぞれ。花火をやるとみんな子供みたいになるのは何故だろう。光が変わった形に見えるメガネをかけてみんなおおはじゃぎ。杉さんも「2枚重ねるとすごいんだよー!」ってまるで少年のよう。ナイアガラの花火の下で♪A面で恋をして〜♪なんて嬉し過ぎますぅ(^^)
その後、杉さんを先頭に浜辺へ移動。ギターを持った杉さんの後ろに続いているとまるでブレーメンの音楽隊みたい(笑)砂浜に座り込んで杉さんがギターを構える。里ちゃんはパーカッションを持参。見上げると今まで見たことのないほどたくさんの星。天の川まで見える。星ってこんなにたくさんあったんだぁ。「じゃ、さっきリクエストもらったから『Look for a star』やろうかな。」去年のバリでも聴かせてもらったこの曲。柔らかいギターの音と、波の音が重なって現実とは思えないくらい。なんだか本当に溶けてしまいそう。「じゃ、次は薫ちゃん。『心の中のプラネタリウム』やらない?」♪星を指さして…♪これ以上この歌に合うシチュエーションはないだろうなー。それも薫ちゃんが生で杉さんのギターで歌ってくれている。あー、贅沢だぁ。星たちもまたたいている。「松尾さんも何かやってくださいよ。『Rainbow in your eyes』やりましょう」と杉さん。松尾さんが照れ気味に杉さんの声に重ねて行く。幸せな気持ちで胸がいっぱい。夢心地ってこんな感じなんだろうなぁ。この星空とこの歌声、きっと一生忘れない。
アーネストハウスに戻ると入口の所ですいかを用意してくれていた。そのすいかを取っていると中からギターの音が聞える。あれ、これなんだっけ?…あ、ポールの「JUNK」だ。慌ててステージの方を見ると杉さんがギターを爪弾いている。慌てて席に戻ろうと思ったけど手にはすいか。戻るに戻れず隅っこの方で聴かせてもらう。あー、うれしいなぁ。続けて「And I love her」を。里ちゃんのパーカッションが加わり「Till there was you」を。少しづつみんなが揃い音が重なって行く。ああ、贅沢だぁ。杉さんが席を外すのと入れ替わりで松尾さんがピアノの前に座り「Imagine」を。松尾さんは象の模様のシャツに着替えている。里ちゃんが正面に座ってタンバリンを叩いている。いつでもニコニコな里ちゃん。本当に音楽を楽しんでるんだなぁ。杉さんも席に戻り「She loves you」を。すっかりもうライブ状態でみんなも手拍子。松尾さんと杉さんのビートルズナンバーってホントにいいなぁ。「予定外の…こんなはずじゃなかったんですけど…」と言いながらも「次何やりましょうか」と杉さん。もぉ、嬉し過ぎますぅ。「じゃ、あれやんない?東君。」と「This Boy」を。途中のボーカルは東さんが。「じゃぁ次、『恋のアドバイス』やんない?」と松尾さんがリードを取って「You're going to lose that girl(恋のアドバイス)」を。哲ちゃんが続けざまに「Ticket to ride」のイントロを。会場からはやんやの歓声。これじゃ、止めるに止められませんね(笑)「何やるぅ?『Baby in black』?」哲ちゃんのギターソロから「Baby in black」を。ふぅ。
「こんなトコで2部を始めたいと思いまーす!」まずは松尾さんの「アマゾンボーイ」から。だけど杉さんイントロのコーラスで♪あーいあい、あーいあい♪って(笑)こっちが♪おさるさんだよー♪って言うしかないじゃないですか(笑)MFBのライブではすっかり定番になってますね。「♪おさーるさーんだよー♪ってちゃんとレスポンスがありましたねー」って杉さんも嬉しそう。
「須藤薫さんでーす」と薫ちゃんの再登場。「歌詞よく覚えてましたねー。さっき。びっくりしちゃった。」「星空の下で『心の中のプラネタリウム』を歌えたのは本当に幸せでしたー。」聴かせていただくほうはもっと幸せでしたぁ。「では砂浜の感じで『砂に消えた涙』を」里ちゃんは鉄琴を。その音がはかなくてかわいい。薫ちゃんが歌うこの曲もすっかり薫ちゃんのイメージになってしまっている。
「花火をあんなにいっぱいやったのは何年ぶりでしょうか?メガネをかけてね、みんな童心に戻ってましたよね。私も2つ。忘れないようにほらっ!」って薫ちゃんのベルトのところにさっきの光が変わるメガネが2つ挟まれている(笑)。「前にここに来たときにテープ持ってきててこの曲をかけてたらいい感じでね。だから今日は生でやります。東君の『愛はタイムマシーン』。須藤薫、伊豆田のパートを歌う!眉毛を濃くかかなきゃ。」「胸毛もかかなきゃ!1回触ってみたかったんです!」か、薫ちゃーん!(笑)「伊豆田さんが伊豆で買い物をすると便利なんですよね。全部名前が明記されている。」と東さん。といいながら「愛はタイムマシーン」を。あー、この歌を聴いたらなんだか本当にトリップしちゃいそう。「みなさん、どうでしたでしょうか?ちょっと短かったですけど。夏の始めにこうやってみなさんと戯れることが出来て(笑)楽しかったです。天気よくてよかったですよね。ここのペンションにロータスがあるんですけど、心の中で広げてください。バリの友達に捧げた曲で『ロータスのほとりで』を聴いて下さーい。」薫ちゃんのコーラスが入ったこの歌もまた格別。
「どうもありがとうございました。長丁場。ホントにこうやってすごせて幸せです。好きな仲間と好きなみなさんといくつになっても花火をして、星きれいだねーって言って、こうやっていけたら幸せだなーって思います。では最後に心をこめて『World of love』を歌います。よかったら一緒に歌って…」♪美しいところへ連れて行ってあげよう…♪見たことのなかった美しいものをたくさん見れたこの場所。この曲があまりにぴったりでなんだか本当にここが「World of love」なんだなーって実感する。たった数日だけど本当の自分に戻れた大切な時間。「どうもありがとう…」
拍手からアンコールの手拍子へ。しばらくして杉さんたちが再び登場。「ホントはもうなかったんだけど登場しちゃいました。」会場から大きな拍手。「もう一度メンバー紹介をします!」とメンバー紹介。そして、ツアーコンダクターの小林さんの紹介。「じゃ、最後は楽しくやりましょう!」と「太陽が知っている」を。みんなのニコニコした顔が広がっている。哲ちゃんのギターソロもばっちり。♪この世界はガラクタだけのパレードだけどみんな大切なものばかり♪愛しい大切なガラクタたち。そんなものが日常につながって行く。「どうもありがとー!」終わらない拍手。
「12時を回りましたので名残惜しいですが終わりにします。」とスタッフから。ホントだ。もう12時を過ぎている。なんだかあっという間だった気がする。夢のような時間はあっという間に終わってしまうけれど、その夢のような感覚がまだ心の中に広がっている。開け放った窓から海風が吹き抜けていく。ライブが終わって宿泊している外国の方たちがレストランに入ってきて飲み物をオーダーしている。私もビールを飲みながらぼんやりしていた。なんだか本当に日本じゃないみたいだな。そんな雰囲気が余計に現実から遠ざけているようだ。なんだか夢みたいだったなぁ。暖かい気持ちで胸がいっぱいになる。星空や花火やそしてゴキゲンな音楽が気持ちの中に満ち溢れていた。
Thanks to Masamichi Sugi & Monkey Forest Band & Kaoru Sudo
Dreamland &Ernest House & My soulmatesWritten by nia